年報2021年度|小張総合病院
33/104

IVR(interventional radiology)放射線科医に協力いただいて、外科的切除適応外の肝癌に対する動脈塞栓・動注化学療法、肝動脈化学塞栓療法(TACE)や、重症急性膵炎に対する膵局所動注療法、門脈圧亢進症による胃静脈瘤破裂例には食道胃静脈瘤塞栓術(B-RTO,TJO)により、また、十二指腸潰瘍よりの出血で内視鏡的止血が困難な時には動脈塞栓術による止血術等、従来治療法が限られていた、難治性疾患も浸襲の少ない方法で治療可能となっています。stent)を用いて食道、十二指腸、大腸の狭窄病変の治療が可能です。食道静脈瘤に対して内視鏡的静脈瘤硬化療法や内視鏡的静脈瘤結紮術を行っています。胃腎シャントを有する孤立性胃静脈瘤に対して緊急出血例には、ヒストアクリルを硬化剤として内視鏡的胃静脈瘤硬化療法を行っています。待機的には放射線科医の協力をいただき、バルーン閉塞下逆行性経静脈的塞栓術(B-RTO)にて治療しています。潰瘍性大腸炎・クローン病などの炎症性腸疾患に対して、5-ASA製剤、ステロイド、免疫抑制剤、生物学的製剤による薬物療法を行っています。外来通院での点滴治療も可能です。非血管系では胆道狭窄、閉塞に対する胆管内ステント留置、消化管狭窄に対してもEMS(expandable metallic 比較的件数の多い疾患について記載しましたが、消化器内科で対処する疾患は胃、大腸等の消化管だけでなく、肝臓、膵臓等の臓器も含み、疾患は多岐にわたり、別に記載した疾患の治療を担当しています。内視鏡室が拡充され、検査機器も充実し、内視鏡医、パラメディカルスタッフも増員され、上部、下部内視鏡も同時に複数で施行できるようになりました。検査後に患者さまが休憩できる場所も確保されています。吐血等の緊急対応も可能となっています。これにより胆石等の良性疾患の内視鏡治療、ならびに消化器癌の早期発見と治療を目指しています。検査件数も増加し、内視鏡治療も多岐に渡っています。当院は日本消化器内視鏡学会ならびに日本消化器病学会の指導施設に認定されており、東葛北部5市GIBネットワークに参加し、吐血、下血等の消化管出血の救急治療にも対応できる体制を整えています。また、感染予防については洗浄器による内視鏡の洗浄の徹底のみならず、内視鏡検査室においても、コロナウイルス感染症に対しても感染対策を十分に行い、ヘパフィルター設置の内視鏡検査室で安心安全な内視鏡検査を行っております。また外来化学療法室も整備されましたので、外来にて消化器癌の化学療法や、炎症性腸疾患の生物学的製剤の投与等、各種疾患に対して通院治療がさらに充実するように対処していきます。今後は治療の質の向上と若い医師の教育を充実させていく方針です。当院で初期研修を終了した医師も、後期研修も当院を希望されるよう、患者さまのみならず職員にとっても魅力ある病院を目指します。教育面では、研修医の教育を充実させるべく、論文の抄読会、内視鏡の読影会、外科との症例のカンファレンスなど、また内視鏡トレーニングモデルを使用した内視鏡の訓練も導入し、教育にも積極的に取り組み、若い先生方にも魅力ある医局を目指しています。以上のように、最新の医療技術の進歩を取り入れて、患者さまの苦痛の少ない治療法で、効率の良い医療を提供できるように、努力していく方針です。33

元のページ  ../index.html#33

このブックを見る